2013年10月31日木曜日

#5 ほめられると ビビるタイプです

この頃 朝は肌寒い、、、
10/30 昨日は、親父の生誕記念日

生きていれば113才になるんだな。

13年前のこと、ちょうど今頃の季節の朝  急きょ 仲間から限定1日の仕事の応援を
頼まれていて 10番目の弟子と 出かけた。 

夕方、その日の作業も何とか終わり道具をまとめ帰ろうとした。
そこへ入れ替わりで    ご主人(初対面) 帰宅。
弟子と車に乗り  帰ろうとしたとき、

「大工さん!! ちょっとまって!!!」



と怒ったような口調でご主人に 呼び止められたのだ。
私と弟子はしばし顔をみあわせ 「何かなぁ?」と不安な気持ちで玄関に戻る。
するとおもむろにご主人    数秒後

「大工さんち  いい仕事するなぁ!!」  と 言いながら

御主人 Q.「大工さん 1杯ヤル・・・・・?」

私 A.「えぇ  晩酌ぐらいなら・・・・・」

御主人 「それじゃ これ持ってけ・・・・・!」   と 酒1本を差し出され
それがなんと 真新しく キラキラ光る 金粉入の 一升瓶。

おこられると思っていたら ほめられた帰り道 

弟子と複雑な気持ちで帰宅。

さっそく1杯! かみしめながら今日のシゴトのあれこれと差向。
それ以来

「ほめられるとビビるタイプ」になってしまったようだ。


                      棟梁 杉山睦雄

2013年10月18日金曜日

#4  個の力

最近 新しく耳にした、自分自身も日頃考えていたこと。



それは あの 福山雅治 主演映画 『そして父になる』
の脚本家の言葉。

彼の「映画作りで基本概念としていることのひとつに、長いストーリーの中、台本、ところどころに
□  □  □  空白をおく  ・・・  」  こと

ドラマの中、子供たち4人  公園の遊具で遊ぶシーン、車から降り いっせいに4人とも
遊具のほうへ 走っていく  ・・・。

静かに見守っていたら

4人で乗るとバランスがとれて遊べる、 腰かけてゆらす大きなブランコに飛び乗り、
4人とも大はしゃぎ!  今までにない笑顔!! 
この時 作者の頭の台本では、ひとりの子供が 一人乗りのブランコ に乗ることを
想定してあったのだという。

本番中のカメラが廻り始めて その瞬間、瞬間で採れたての 新鮮な笑顔!
自然に発せられた言葉!  を どんどん撮りいれて映画作りをするのだと。。。


私達の仕事もそうである、個性あふれる職人 一人ひとりが 持ち合わせている技術を
最大限に引き出しながら、日々育っていく現場であるから 
その  □  □  □  空白の台本を上手にうめてくれる 
個々の力の結集が大切である。



                              棟梁 杉山睦雄

2013年10月4日金曜日

#3 メモ用紙


        私は 数拾年も前から 枕元にメモ用紙を 置きながら 休むことにしている。









     明日の仕事に差し支えてはいけない 事柄、今日初めて耳にした言葉、 
    眠りながら良いアイディアが ひらめいた時、等々 こまめにメモをすることが習慣に
    なっている。

    40数年前のこと ちまたでは 高度成長期の 真っ只中 

    あらゆる 職種の人達が 忙しい日々を送っていて、
    私も同様にして 分刻みの 忙しさの中        ある 晩のこと

      当時19才だった 家内への プロポーズの言葉。 その日の仕事上がり はだし足袋
   (たび) のまま ハンドルをにぎりながら、 傍らの 彼女に 神妙な面持ちで

       「今日からは自分のメモ用紙になってくれ・・・・・!?」

    と言った。     彼女は軽く頷いてくれた。

   その瞬間から 自分の頭の中の メモ用紙と もう1冊の メモ用紙が出来、 
    幅がひろがり スゴク安心したことを 今でも覚えている。

   自分にとって の メモ用紙とは 単なるメモ用紙ではないのです。

   相手方から 頂いた メモ、 自分から発信したメモの全てを綴り、
  
       一軒の住まいが完成するころには メモ用紙  ~   メモ用誌 、 
   1冊の本のようになるのです。

     しかし ある有名な工業デザイナー が こうも言ってました。

       「通常業務としては まめにメモをとるが、世界にひとつしかない素晴らしいと
   
           思うアイディアがひらめいた時には あえて メモをしない・・・・・」

       「翌朝そのアイディアが鮮明に浮かんでこないような アイディアでは
           良いデザインとはいえないからだ。」    と。。。


                                     棟梁 杉山睦雄